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zoom RSS 『坂の上の雲』(全八巻)を読み終えて・・・

<<   作成日時 : 2009/10/29 23:58   >>

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筆者の司馬遼太郎は
これは戦争描写が目的ではなく、新興国日本を造り上げた明治人の精神について描くことを目的としていると語っている。
あとがきでもこう書いている。
『たえずあたまにおいている漠然とした主題は日本人とは何かということであり、それも、この作品の登場人物たちがおかれている条件下で考えてみたかったのである。』


以下、『坂の上の雲』に登場する明治人・・・

日露戦争における海軍を作り上げた山本権兵衛がかつて海軍大臣を務めていたとき、日露戦争での主役となる旗艦“三笠”を英国に発注。しかしながら、資金繰り逼迫で万策つき、どうにも前払い金が払えない。時の内務大臣西郷従道は、事情を聞き終えると
『それは山本さん、買わねばいけません。だから、予算を流用するのです。むろん違憲です。議会で追及されて許してくれなんだら、二人で腹を切りましょう。二人が死んで主力艦ができればそれで結構』


また海軍大臣山本権兵衛は、連合艦隊司令長官を選ぶにあたって、何人かの提督のなかから、もっとも名声がなく、しかも閑職にいた東郷平八郎をえらび、明治帝からその理由を下問されたとき、「この男は、若いころからのよかった男でございますので」と答えている。

西郷隆盛、西郷従道、大山巌の3人を典型とする薩摩的将帥というのは)
まず、自分の実務のいっさいをまかせるすぐれた実務家をさがす。それについては、出来るだけ自分の感情と利害をおさえて選択する。あとはその実務家のやりいいようにひろい場をつくってやり、なにもかもまかせきってしまう。ただ、場をつくる政略だけを担当し、もし実務家が失敗すればさっさと腹を切るという覚悟をきめこむ。かれら3人と同じ鹿児島城下の加治屋町の出身の東郷平八郎も、そういう薩摩風のやりかたであった。


この海戦に先立ち「敵艦見ゆとの警報に接し、連合艦隊は直ちに出勤、之を撃滅せんとす。本日、天気晴朗なれども波高し」という有名な電文が送られ、「皇国の興廃、この一戦に在り。各員一層奮励努力せよ」という意味のZ旗もかかげられた。


東郷平八郎は)両脚を休メのかたちにしてわずかにひらき、左手に長剣の剣をにぎり、身動きというものをまったくしなかった。かれの統率上の信念はどうやら、司令長官は全軍の先頭のしかも吹きさらしの空中(前部艦橋)にあって身動きをしないというところに基本をおいているようであり、その姿は、一種不動の摩利支天を見るようであったという。


東郷はひくい声で語りかけた。
「われら武人はもとより祖国のために生命を賭けますが、私怨などあるべきはずがありませぬ。ねがわくは十二分にご療養くだされ、一日もはやくご快癒くださることを祈ります。なにかご希望のことがございましたらご遠慮なく申し出られよ。できる限りのご便宜をはかります」
(ロジェストウェンスキー)は目に涙をにじませ、
「私は閣下のごとき人に敗れたことで、わずかにみずからを慰めます」



私自身がこの作品に期待したのは、小国日本が大国ロシアに勝ったその戦略と戦術、そしてそれを実行した軍つのマネジメントについてだった。

児玉は乃木から指揮権を奪った。このことは部外に洩らすべからざるものであり、すべての功績は乃木希典に帰すべきである。でなければ、児玉のやったことは、すさまじい悪例として残ることになる。

児玉は乃木軍の連戦連敗の主因を、その参謀が現地を知っていないことだと繰り返し指摘してきた。あるとき作戦地図に間違いを見つけた児玉は現地を自分で見もせずに書き間違いをしている少佐参謀の参謀懸章をひきちぎり「参謀は、状況把握のために必要とあれば敵の堡塁まで乗りこんでゆけ。机上の空論のための無益の死を遂げ人間のことを考えてみよ」と言った。

児玉は、乃木個人の面目をつぶすことによって日本の将兵の大量死傷の惨から救い出し、連敗から一挙に勝利への軌道にのせたのだが、あとに残る乃木の面目を思い遣り、乃木の得意な詩会を誘った。


真之は、戦略戦術の天才といわれた。
真之の特徴は、その発想法にあるらしい。その発想法は、物事の要点はなにかということを考える。
要点の発見法は、過去のあらゆる型を見たり聞いたり調べたりすることであった。
「人間の頭に上下などはない。要点をつかむという能力と、不要不急のものはきりすてるという大胆さだけが問題だ」と言い、それをさらに説明にして、
「従って物事ができる、できぬというのは頭ではなく、性格だ」
ともいった。

「目で見たり、耳できいたり、あるいは万巻の書を読んで得た知識を、それを貯えるというより不要なものは洗い流し、必要なものだけを貯えるという作用をもち、事があればそれが自然に出てくるというような働きであったらしい。」

 

好古はみずから元来他人のものである師団所属騎兵をわずかににぎっている程度で、かれ自身の秘蔵っ子であり、日本最強の騎兵集団とされる騎兵第一旅団を自分の手元におかず、他の将が率いる敵が侵入してくるとすればその進路に置き、自分の部下の指揮にまかせる陣容をとった。
のちにこの風変わりな部署の仕方は秋山戦術の深奥であると言われた。


連合艦隊が解散をした。解散式は東郷が「告別の辞」といい、「連合艦隊解散ノ辞」を読み始めた。秋山真之の文である。最後は以下の一句でむすんでいる。「神明はただ平素の鍛錬に力め戦はずしてすでに勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者よりただちにこれをうばふ。古人曰く、勝つて兜の緒を締めよ、と」


この訓示のホントウの心が伝われば、日本軍はノモンハンはじめとして太平洋戦争に向かわなかったのかもしれない・・と司馬は思っているのではないか。

http://plaza.rakuten.co.jp/tajitajiblog/diary/200907080000/

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
文藝春秋
司馬 遼太郎

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